台湾においては2013年に改正商標法が公布・施行された。当該改正商標法によれば、新しいタイプの非伝統的商標、例えば、匂い、手触り、味などは、論理的に商標登録出願できるようになった。また、同法第19条第3項によると、商標の図案は鮮明、明確、完全、客観的、持久性を有し、理解しやすい方式により表されるべきであると規定されている。しかしながら、匂い商標は視覚により感知できず、知的財産局も関連審査基準を制定しなかったため、出願人は商標法の形式要件に符合する匂い商標の図案をどう提出すればよいかを知り得なかった。例えば、第5類商品に使用を指定する2012年出願の第101037007号匂い商標では、その匂い商標はウィンターグリーンオイル及びラベンダーオイルを含み、独特な匂いが混じる漢方薬薬用油の匂いとされた。ところが、この匂い商標の出願は、商標図案の描写では登録しようとする商標の匂いの内容及び権利範囲を消費者に鮮明、明確且つ完全に認知させることができないため、方式が不適法であるという理由により、不受理処分が下された。さらには、この不受理処分が知的財産裁判所にも維持され、2016年に確定された注1 。
知的財産局は前記の案件や、匂い商標図案及びその描写を法に違わず提出することが困難であることから、公聴会を開催して各方面の意見を求めた。その後、2017年9月に非伝統的商標審査基準を改正し、公布と同時に発効した。当該改正審査基準において、匂い商標は使用による識別力(secondary meaning)を備え、かつ機能性を有さないべきであると規定するほか、匂い商標の図案、描写及びサンプルの提出方法についても規定した。即ち、匂い商標の図案として当該匂いを文字によって説明してもよく、当該説明を商標の図案とすることができる。また、その説明は関連消費者に記憶の匂いを連想させるに十分であり、さらには、当該匂い商標が人にどのように認知されるかを関連消費者に明確に認識、理解させなければならない。なお、匂い商標のサンプルについて、出願する匂い商標を実際に使用した商品の実物、商品の包装、または役務に関連する物品を提供することができる。
現在までのところ、知的財産局に出願された匂い商標は数件あり、近い将来第1件目の匂い商標登録が許可されることを期待している。
注1: 知的財産裁判所105年(2016年)行商訴第41号判決。
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