台湾専利法第53条は、「専利権を取得した医薬品、農薬品、又はその製造方法に係る発明の実施において、他の法律の規定により許可証1の取得が必要であり、かつ、その許可証を特許出願の登録公告後に取得した場合、特許権者は、一回に限り、第一回の許可証をもって特許権の存続期間の延長出願をすることができる。ただし、当該許可証による特許権の存続期間の延長登録出願は一回に限る。」と定めている。
上記条文により、農薬品・医薬品の発明に係る特許権の存続期間の延長登録出願の願書に添付する許可証は、いわゆる『第一回の許可証』(初めて取得した当該発明に係る許可証)の定義に合致するものでなければならないことが分かる。
2013年1月1日より施行された特許権の存続期間の延長に係る審査基準(以下、現延長基準と略する)によれば、「第一回の許可証」に該当するか否かは、願書に添付された許可証に記載の有効成分及び用途から総合的に判断される。つまり、許可証に記載の有効成分と用途(効能)の組み合わせが、承認・登録審査において、初めて許可を得たものであれば、当該許可証は第一回の許可証として認められることになる。
一方、現延長基準において、医薬品の許可証に載せる「有効成分(active ingredient)」は、医薬品の構成成分における薬理作用を持つ活性成分とされ、第一回の許可証に係る判断をする際には、有効成分に該当する特定化合物そのもの(フリーフォーム(free-form)とも呼ばれる)のみが考慮され、特定化合物の塩又はエステル等は、たとえ有効成分として許可証の処方欄に記載されていたとしても、考慮されることはない。例えば、特定化合物のA塩とX用途にて許可証を取得した場合において、同化合物のB塩がX用途にも使用され得ることを発見し、薬事法の規定に従い、新たにB塩に係る許可証を取得したとしても、B塩はA塩と同一のフリーフォームを有するので、B塩の許可証は、特許権の延長登録制度における第一回の許可証としては認められないということになる。
第一回の許可証の認定に関しては、以前から規制緩和を求める声が強く、今年(2017年)、現延長基準の改正案が提出された。当該改正案によれば、同一の化学部分(chemical moiety)を有する異なる塩やエステル等による許可証も、それぞれ第一回の許可証として認められることになる。例えば、特定化合物のA塩、B塩につき、それぞれ許可証を取得した場合、それぞれの許可証は、A塩、B塩の第一回の許可証として認められることになり、両方とも、特許権の存続期間の延長登録出願用の第一回の許可証として提出することが可能となる。つまり、特許権者が同一用途、同一化合物の異なる塩やエステルにつき許可証をそれぞれ取得した場合、その塩、エステルに係る許可証が、初めて取得したものと認められれば、専利法第53条に定める第一回の許可証に該当し、それをもって特許権の存続期間の延長登録出願をすることができるようになる。
今回の改正案は、現在(2017年12月)、案文の予告公開が為されており、施行の公告を待つ段階にあるが、大きな変動なく施行されれば、医薬品関連産業の業者等にとっては、特許権の存続期間の延長登録制度をより自由に活用し、ニーズや条件に合わせて望ましい延長方針を選択することが可能となる。
注1 :日本の医薬品の製造販売承認書又は農薬の登録票に相当する。
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