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台湾裁判所における特許進歩性判断に関する4つの要点

    知的財産及び商事裁判所(以下、「知財商裁」という。)が進歩性欠如と判断し、その後に台湾最高裁判所と最高行政裁判所(以下、併せて「最上級裁判所」という。)に上訴された「プログラマブル制御装置特許」に関する複数の事件について、2022年以降、最上級裁判所は何度も知財商裁の判決を破棄し、改めて審理をするよう差し戻す判決を下している。

    最上級裁判所による進歩性判断に関わる差戻理由としては、主として、以下の4つの要点が挙げられる。

    (1)特許出願時における当業者の技術水準を考慮すべきであること。
    (2)「主引例」を特定すべきであること。
    (3)「明らかに試行しようとする意思があること」と「明らかに実行しようとする意思があること」を区別する「could-wouldアプローチ」により、当業者が先行技術を参酌して発明の内容を行うことができるか、並びに実行しようとする意思があるかを判断すべきであるということ。
    (4)特許が競合他社に権利許諾されていることを、商業的成功として進歩性を肯定する要素となるかを考慮すべきであるということ。

    最上級裁判所における最近の差戻判決に対し、知財商裁は、2025年12月末に差戻二審の民事訴訟判決(113年度民專上更二字第5号)と行政訴訟判決(114年度行專更二字第1号)を、それぞれ言い渡している。

    2件の差戻二審の判決理由は似通っており、いずれも上記の最上級裁判所の差戻理由の要点を整理したものに基づいて判断している。

 まず、(1)の特許出願時の技術水準について、知財商裁は、被疑侵害者側が提出した専門家証人による書面資料及び出廷証言を採用し、その後の進歩性判断の根拠とした。

    (2)については、引例を組み合わせて進歩性を判断する際、知財商裁はまず主引例と副引例を確認し、係争特許と主引例の技術的特徴の相違を比較し、その相違が副引例に開示されていると判断した。

    (3)に関し、それらの引例を組み合わせる動機について、知財商裁は、まずこれらの引例には技術分野に関連性があり、解決しようとする課題や機能又は作用に共通性があることから、当業者が主引例の技術内容に基づいて制御装置をプログラム化させることができると判断した。そして、このことから特別な条件下において副引例の技術を採用する意欲があるとし、単に後知恵によって先行技術の組合せを試みたものではない、と認定した。

 そして、知財商裁は差戻二審の民事判決及び行政判決においても、やはり各係争特許に進歩性がないと判断した。

    (4)の特許権者による権利許諾が商業的成功に該当するかについて、知財商裁はこれらの民事訴訟及び行政訴訟の差戻二審において、当時の技術ライセンス契約書を検討したほか、別途当事者双方の立会いのもとで質問を設定し、係争特許の被許諾者に書面を発送している。その書面で質問した内容には、特許の出願時に存在していた技術的課題が何かということ、そして特許の請求項における技術内容が当該技術的課題を解決できるものであるか否か、権利許諾契約の締結が当該請求項の技術内容に基づくものであったか、などの被許諾者が当時権利許諾を受けた理由を巡るものが含まれていた。

    ほとんどの被許諾者は、時間がかなり経過しているため、もはや確認できないと回答した。そして、その他の被許諾者の中には、当該特許が当時の技術的課題を解決できるものであったと真正面から肯定した者もいたが、当時の権利許諾が締結された背景が特許の技術内容に基づくものであったか否かについては、やはり回答することができなかった。

    さらに、知財商裁は、当時の権利許諾契約からも被許諾者が請求項の技術的特徴により権利許諾を受けたということを確認できないと判断した。これにより、特許権者は特許の権利許諾と技術的特徴の直接的な関連性(nexus)を立証できないと認定した。

    上述の4件について、複数回にわたる差戻審の判決で最上級裁判所が示した特許の進歩性判断の要点は、いずれも現在では知財商裁が特許の進歩性を判断する上でのチェック項目となっている。

    訴訟中の各当事者にとっては、特許の有効性に関する攻防に備え、あらかじめ準備を行い、適切に対応しておく価値があると言えるだろう。

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