台湾において、2つの設計の外観が類似・近似かを判断する際、採用されている主な原則の一つは、一般消費者が商品を選択・購入する場合を想定した観点で、肉眼で直接観察をすることである。
ただし、選択・購入する際の観察に、機器の補助が必要となる、例えばダイヤモンドや発光ダイオードなどのような商品については、観察に機器を用いても、肉眼で直接観察しているものとみなされている。
上記の原則は、個別の案件において、どのように適用されるだろうか。
近頃、知的財産及び商事裁判所において、この問題について取り扱う2件の判決が下されている。1件は一般的な物品に関する事例で、もう一件は極小物品に関するものである。
これらの判決から、極小物品を取り扱う場合における上記の原則の適用に、専利権者が留意すべき事項があることがわかる。
まず、1件目は「ペンダントトップ」の設計専利の民事訴訟の事例である。裁判所の意見は、次のとおりである。
「フォーチュンクッキーの外観形状は、先行技芸においてよく用いられているデザインである。その孤度・曲線・曲面の部分はいずれも係争専利の説明書で強調されている特徴ではなく、先行技芸の孤度の細微な修飾に過ぎないと言える。一般消費者が商品を選択・購入する際は、肉眼で直接商品の全体的デザインを観察し、特にその孤度・曲線・曲面を計測するわけではない。」
本件において、裁判所は、機器により精密に測定して、外観の曲線・曲面・孤度の相違程度を顕在化させることは、肉眼で直接観察する範疇にないことを明確に示している。
また、もう1件の「発光ダイオード」の設計専利に係る民事判決において、裁判所は、発光ダイオードの使用や選択・購入時の観察は、通常、機器により撮影した拡大写真や商品カタログの拡大図によって行われているとしつつも、「比較の基礎としては、やはり両者が同一又は近い倍率であるべき」としている。
本件において、裁判所は、次のように認めている。
「原告の係争専利の図面は、そのダイオードの外観を20倍に拡大して示したものであるが、原告が裁判所に提出した被告商品の写真(複数)は、当該商品を12倍・25倍・75倍等に拡大して(複数)表している。したがって、拡大倍率に差がある状況で行った比較観察は、明らかに不合理で不適切である。
外観の類否判断をするときは、やはり視覚に訴えるものであることを原則とすべきであり、原告が3D輪郭測定器を用いて、比較商品の輪郭図を作成し、その過程で計測分析内容を取得することは、一般消費者が行える直接観察して理解できる範囲を超えている。」
上記の事例から、外観の類否判断をする際に、係争専利と比較する物品・写真又は図面の対象は、同等又は近いサイズや倍率にすべきであり、そうでなければその比較結果が裁判所に受け入れられない可能性があることがわかる。
さらに、近似又は相違の程度を把握するために、測定機器を用いた細部の計測を必要とする場合や、専門知識や認識能力を要する精密機器による計測が求められる場合など、人の視覚に訴えるものではない比較方法についても、裁判所に「一般消費者の肉眼観察の原則」に合致しないとして認められない可能性がある。
上記の要点は、特に原告が留意すべき事項である。なぜなら、台湾における侵害訴訟では、侵害の有無に関し、原告が主たる立証責任を負うことになるからである。