同一又は類似の商品もしくは役務において、先に出願された他人の商標と同一又は類似であり、関連消費者に混同誤認を生じさせるおそれのあるものは、登録を受けることができない、と台湾商標法第30条第1項第10号にて明文規定されている。
いわゆる「関連消費者に混同誤認を生じさせるおそれのあるもの」とは、商標がその表示する商品の出所又は製造主体について、関連消費者に混同誤認を生じさせるおそれがあることを指し、つまり商標が商品の消費者に与える印象が、関連消費者に異なる出所の商品を同一の出所のシリーズ商品であると誤認させたり、両商標の使用者間に関係会社、ライセンス、フランチャイズ又はその他の類似関係が存在すると誤認させたりする可能性があるということである。
商標が類似であるか否か並びにその類似の程度は、混同誤認のおそれの有無を判断する際の、重要な要素の一つである。
知的財産局が定めた「混同誤認のおそれの審査基準」によると、商標が類似であるか否かを判断する場合、原則として登録出願時の商標の図形を基とし、商標全体の外観・称呼及び観念的な面から、誤認を生じさせる類似レベルに達するかどうかを判断する。また、商標の特定部分において識別機能の発生や増加があるかについては、全体を観察した正しい結果が得られるように、その特定部分を観察しなければならず、単に特定部分が同一又は類似しているだけでは、高度類似とは見なされない。
一般的に言えば、商標図形の類似性の有無について、知的財産及び商事裁判所(以下、知財商裁という)が知的財産局や訴願委員会の判断を維持する傾向が見られるが、2025年1月15日にて知財商裁が下した113年度行商訴字第41号行政訴訟判決はさにあらず、その判決の内容は読む価値があると思われる。
本件の行政訴訟の原告、すなわち商標出願人は、「Waiting coffee及び図」商標(図一、以下、係争商標という)を、コーヒー、コーヒー飲料などの第30類商品を指定し登録出願をした。
知的財産局(以下、知財局という)は、第30類コーヒー飲料、コーヒー豆などの商品に使用登録されている第01909797号「守候咖啡 Waiting Coffee及び図」商標(図二、以下、引用商標という)を引用して、係争商標の図形が引用商標の図形と類似していることを理由に、係争商標が前記商標法第30条第1項第10号の状況に該当するため、登録を認めることができないとした。出願人は処分を不服として訴願を提起したが、訴願委員会は原処分を維持し、訴願を棄却した。出願人はなおも不服として知財商裁に行政訴訟を提起した。審理の結果、二つの商標図形の類否判断において、知財商裁は知財局と訴願委員会の意見とは異なる見解を示し、両商標が類似していないと認定した。
商標図形の類似性有無の争点について、知財局は,係争商標の図形と引用商標の図形を比べて、識別部分にはいずれも同一の外国語「Waiting coffee」があり、両商標はそれぞれ他の図や中国語と組み合わせられているものの、消費者に与える第一印象として、両商標の外国語の識別部分に同じ「Waiting coffee」があるという重要点が存在することは変わらず、外観・観念・称呼が極めて類似しており、一般的な知識経験を持つ消費者が購入時に普通の注意を払った場合、二つの商品が同一の出所から来たもの又は同一ではないが関連する出所から来たものと誤認する可能性があるため、類似の商標を構成しており、その類似性が高いと認定した。
訴願委員会は知財局の認定に同意し、両商標には消費者への主要な識別部分である外国語「Waiting coffee」があり、いずれもコーヒーカップと組み合わせたデザインで「コーヒー待ち(waiting)」という意味を伝えており、全体的な外観・称呼及び観念が互いに類似し、一般的な知識経験を有する消費者が異なる時間・場所で全体を観察したり、又は市場で取り引きを行ったりする際に、同一またはシリーズ商標であると連想しやすいため、類似性が高い商標であると考えるべきであると説明した。
しかし、知財商裁は、両者の商標構図及び外観が明らかに異なると認定している。外国語の部分(Waiting coffee/Coffee Waiting)は同様であるが、係争商標の「Waiting coffee」はコーヒーカップ図の下にあり、目立つものでない一方、引用商標の「Coffee Waiting」は黒と茶色の交差形状によって形成されたコーヒーカップ図と緊密につながっているわけでなく、文字の大きさも明らかに大きく、呼びかけやすい中国語「守候咖啡」も付いているので、両商標の全体的な図形は、一般的な知識経験を有する消費者が購入時に普通の注意を払った場合、両者が同一の出所から来たもの又は同一でないが関連する出所から来たものと誤認する可能性は低いため、類似度の低い商標と考えられるとした。
知財商裁はさらに、知財局が両商標の全体的な外観における明らかな違いを無視し、同様の外国語部分及び熱い湯気が湧いているホットコーヒーカップの図形デザインという概念で、類似性が高いと認定したことは、商標図形全体を観察するという原則に違反し、採用することは認められないとした。
本件の当事者は上訴せず、商標登録出願は知財局で再審査中となっている。
調べたところ、係争商標の名称は「Waiting coffee及び図」であり、引用商標の名称は「守候咖啡Waiting Coffee及び図」である。一般的に言えば、単に英語のアルファベットで読む際、知財局と商標所有者は「Waiting coffee」と読む。しかし、消費者の立場で、商標の図形を観察すると、引用商標の外国語部分は「Coffee Waiting(左から読む)」か、「Waiting Coffee(上から読む)」と読むことができる。
裁判所の判決での意見によれば、商標の類似性を判断する際、商標図形の外観は観察において重要な根拠となる。したがって、両者の図形の称呼や概念が同様であったとしても、外観で区別することができれば、必ずしも類似商標であると認定されるわけではない。
