台湾著作権法第65条は、「著作物の合理的な利用は、著作財産権に対する侵害を構成しない。著作物の利用が第四十四条から第六十三条に定める合理的な範囲、又はその他の合理的な利用の情状に合致するか否かについては、一切の状況を斟酌し、特に次に掲げる事項に注意し、判断の基準としなければならない。一、利用の目的及び性質(商業的目的又は非営利的教育的目的を含む)。二、著作物の性質。三、利用の質と量、及びそれが著作物の全体に占める割合。四、利用の結果が著作物の潜在的な市場と現在の価値に及ぼす影響。」と規定している。
しかし、どのような利用態様が「合理的な利用」に該当するのかが、常に議論に上がっている。
先頃、台湾の知的財産及び商事裁判所で下された113年度民著訴第60号判決において、「合理的な利用」の原則について言及されており、その解釈と適用が参考にできるかと考えられる。
この案件は、被告が原告商品の写真を利用した事案であり、被告の妹は、原告が販売した電動歯ブラシを購入した後、利用の必要がなくなったため、被告が自らの「蝦皮(SHOPEE)」アカウントを通じて当該商品を転売しようとしたものである。その際、被告は、商品の写真を撮影し、「蝦皮(SHOPEE)」にアップロードをしている。
原告は、被告が撮影した商品のパッケージ(下図参照)が原告が所有する美術著作物であると考え、被告が行った無断複製および無断アップロード行為は、原告の著作権を侵害すると主張した。
これに対して、被告は、当該商品は合法的に入手したものであり、かつ、写真をインターネット上にアップロードした目的は、その商品が新品であることを証明するためであり、原告の著作権を侵害していないと抗弁した。

裁判所はこの案件を審理した後、被告の抗弁を採用し、被告の行為は、著作権法における「合理的な利用」に当たると認定した。
- 裁判所はまず、被告が撮影した商品パッケージは、「歯」の図と「牙寶貝」という文字から構成され、さらに、「歯」の図に眉毛、目、口、手足などを足して擬人化したもので、創作性があると認め、著作権により保護すべき美術著作であると判断した。
- 被告には、前記著作内容を複製及び公開送信行為をした事実があるものの、著作権者が当該著作を利用する本来の目的は、消費者または使用者に電動歯ブラシの特徴を理解させるためである。被告は、当該電動歯ブラシ商品を合法的に入手した者であり、その電動歯ブラシ商品を転売する際に、当該著作の内容も購入者に提供し、商品を確認させることは、当該著作を利用する目的に当て嵌まらないわけではない。さらに、被告は、当該著作の内容を変更していなかったので、他人に誤認させる恐れがなく、また、商品が1点しか販売されていないことを鑑みれば、当該著作の利用により原告が受ける影響度は高くないと考えられる。
- また、裁判所は、環境保護や詐欺防止などの国の政策目標を斟酌し、消費者が合法的に購入した商品が不要となりインターネット上で転売する際に、その商品に関する著作を適度に複製や公開送信行為をすることによって商品の合法性を証明することは、前記環境保護や詐欺防止目標を実現し、著作権法における著作権者利益の保護・社会公共利益の調和・国家文化発展の促進などの立法目的にも一致するとした。そして、被告の行為は、著作権法第65条「合理的な利用」に該当すると判断された。
上記の判決理論を参照すると、被告の行為は商業利用に該当し、また、原告の美術著作内容を100%複製したことから、原則的には、被告側の「合理的な利用」の主張に不利になりかねないと言える。しかし、本判決は、その行為が消費者に原告の商品を理解させるためであること・被告の当該著作の利用行為によって原告が受ける潜在的な影響度が高くないこと・環境保護や詐欺防止など公的利益を促進できることなど、著作の本質となる要素を重視したようにも見える。あるいは、裁判所は、「合理的な利用」原則の適用について、より柔軟な対応をしようとしているとも考えられる。
今後、裁判所が他の事案で各々の著作性質や利用目的などの要素を、どのような比重で採用するのか、引き続き留意していくべきである。
-----------------------------------------------------------------------
本ウェブサイトのご利用に当たって、各コンテンツは具体的事項に対する法的アドバイスの提供を目的としたものではありませんことをご了承下さい。