台湾専利法の規定によると、設計とは物品の全部または一部の形状、模様、色彩又はそれらの組合せに対して視覚を通じて訴求する創作を指し、産業上の利用に供することができるものは、設計専利を出願することができる。ただし、もしも設計が、「出願前に同一又は近似の設計が有り、すでに刊行物に見られているとき」、「出願前に同一又は近似の設計が有り、すでに公開実施されているとき」、「出願前にすでに公衆に知られているとき」、「設計が属する技芸分野における通常の知識を有する者が、出願前の先行技芸により容易に思いつくものであるとき」は、専利を受けることができない。設計専利が上記の状況に該当するときは、何人も理由を明記し、証拠を添えて、専利主務官庁に無効審判を請求することができる。そして、審判で無効が成立するか否かは、提出した証拠に証拠能力があるか、また当該証拠の証明力が係争専利と同一又は類似を構成するに足るかにより判断される。
近頃、ある設計専利無効審判後に知的財産及び商事裁判所(以下、「知財商裁」)に上訴された事件の行政判決において、知財商裁は、原告が提出した証拠の証拠能力に対する知的財産局(以下、「知財局」)と経済部訴願委員会の認定を覆した。そして、証拠が証拠能力を備える状況において、係争設計専利は新規性及び創作性を備えないとし、知財局は無効審判が成立するという処分を下すべきとの意見を提示した。この案件について、以下のように説明する。
原告(無効審判請求人)は設計専利第D213675号に対し、被告(知財局)に無効審判を請求し、証拠又は証拠の組合せの開示により、係争専利が新規性又は創作性を有しないと主張した。
被告は審理を経て、証拠6(2012~2020年の間に原告及び訴外人”希進社”とその協力メーカーの工事請負契約書及び図面説明書)は私文書であり、公衆に知らせることができず、適格な証拠とすることができないと認定した。そして、たとえ証拠6に証拠能力があったとしても、その画像が明瞭でないため、係争専利が新規性を有しないことを証明するのに十分でなく、その他の証拠と組合せても、係争専利が創作性を有することを証明するには足らないとして、無効審判請求棄却の審決を下した。
原告はこれを不服として訴願を提起し、訴願委員会は、次のように認定した。
証拠6の龍潭駐屯地建築工事詳細図(19)(以下、『図A』。)は、訴願添付書類1・3の政府電子調達サイト関連資料及び入札公告は、調べたところ当該調達サイトでダウンロード可能な公開書類であり、係争専利の出願前にすでに公開されていたと認めることができることから証拠能力があり、証拠6のその他の契約書及び図面説明書については、契約者双方の署名がなされた私文書であり、部外者が知り得るものではなく、訴願請求人(原告)はまたそれらの契約書が政府調達の落札メーカーが公共工事を請け負うために締結した契約であり、係争専利の出願前までに公開されていることを具体的な証拠を提出して証明していないことから、係争専利の出願日以前に公開されていたとは認定し難く、証拠能力がないと言える。
そして、これらの証拠では係争専利が新規性と創作性を有しないことを証明できないという被告の見解を維持した。
原告はこれを不服として、知財商裁に上訴した。
係争専利は、添付図面が示すシャッタースラットであり、斜視図と部材一部分解斜視図を見ると、このシャッタースラットの正面には「二重溝式V字溝」があり、左右両側の先端及び底端に「二層重合式フック部」と「単層式平折縁」と「内凹弧式フック首」という設計特徴が設けられている。

本件について知財商裁は、次のように認定している。
証拠6における工事契約書の建築工事詳細図は、政府の公開調達入札(以下、「入札」と略称。)の落札メーカーとその協力メーカー間の私文書であるが、原告が提出したシャッタースラットの工事図面説明書を見ると、それぞれ入札工事図面説明書に由来している。上記入札書類はみな入札サイトからダウンロードすることができ、かつこれらの工事の入札書類の公告日はいずれも係争専利の出願日より前であることから、証拠6に添付の入札関連書類である工事図面説明書等の資料は、いずれも係争専利の先行技術として十分であり、証拠能力を有する。

証拠6甲3号証の主要図面
証拠6で示す工事契約書のうち、シャッタースラットに関する工事説明書の証拠6甲3号証に開示の全体外観輪郭線が最もはっきりとしているため、この工事説明書を係争専利との比較の基礎とする。
係争専利の物品は「巻き上げシャッタースラット」と証拠6甲3号証「格納庫シャッタースラット」は、その用途、機能がいずれも同じで、両者は同一物品である。対応する内容を比較すると、両者はいずれも「V字溝」、「二層重合式フック部」、「単層式平折縁」及び「内凹弧式フック首」などの共通の特徴を有しており、差異はこのV字溝の数が異なるだけであり、それぞれ係争専利は二重溝式であり、証拠6甲3号証は単溝式であり、両者はこの「単層式平折縁」の折り曲げ角度においてわずかな差異がある。シャッタースラット上の溝の数は1本差に過ぎず、正面から見てその違いを見分けることは難しく、フック首内の平折縁の折り曲げ角度が外観上で占める視覚面積は非常に小さくて注意をひきにくく、全体的に観察して総合的に判断すると、一般消費者が商品を購入する際の観察と認知では、係争専利における上記共通特徴に基づくと、その全体的外観と証拠6甲3号証の外観を区別することができない。両者は類似の視覚印象を生じさせていることから、係争専利と証拠6甲3号証の外観は類似であると認定すべきである。これにより、両者は類似の外観を同一物品に適用しており、証拠6甲3号証は係争専利が新規性を有しないことを証明するのに十分である。
証拠6甲3号証が係争専利が新規性を有しないことを証明していることから、係争専利は明らかに特異な視覚効果を生むことが難しい。このため、係争専利は意匠の属する技芸の分野における通常の知識を有する者が、証拠6の創作内容に基づいて、外観を直接模倣したり簡単に些細な修飾をしたりすることで、係争専利の外観を知ることができ、係争専利の設計は容易に思いつくものと認定しなければならない。よって、証拠6を含む証拠を総合的に判断し、係争専利は創作性がないと認定する。
被告は、[証拠6の図Aにおいてシャッタースラット1枚が見えるが、シャッタースラットの溝は1本で、シャッタースラット上下端にフック部が見えるものの、一部拡大図を参酌してもやはり鮮明とは言えず、係争専利と同じ「二層重合式フック部」、「単層式平折縁」の外観を有しているかを確認することができず、「内凹弧式フック首」の設計特徴も有していないことから、これらの特徴変化はシャッタースラットの視覚外観に影響を及ぼし、視覚印象に混同誤認を生じさせるには至らない、云々。」と述べている。
しかし、係争専利と証拠6甲3号証の全体的外観を比較したところ、その比較結果として係争専利と証拠6甲3号証の外観は類似であり、たとえ証拠6の図Aの図が小さめで不鮮明であるとしても、甲3号証の図面は鮮明で比較するのに十分であることから、被告の上記抗弁は採るに足らない。
上記内容から、無効審判の証拠が落札メーカーと下請メーカーの間で締結された工事請負契約書であれば、私文書に属するが、もしこれらの工事請負契約書に添付された工事図面説明書を政府の公開調達入札図面説明書と紐づけることができ、特にこれらの工事契約書に添付の図面説明書がそれぞれ入札図面説明書で、これらの工事の入札書類の公告日がいずれも係争専利の出願日より前である場合、該入札関連書類の工事図面説明書等の資料は、いずれも係争専利先行技芸として十分であり、証拠能力を有する。
したがって、本件の場合のように、無効審判で入札書類関連の購買契約書を証拠とする際に、どのように入札書類で証拠上の不足を補うかにおいて、最も適切な措置をとるために、さらなる検討と評価を行う価値があると言える。